「アンサンブル・フロイント」って何ですのん?

「アンサンブル・フロイント」って何ですのん?

2004年12月16日

初代団長 大友 一三

最高の芸術に触れた喜び、それだけに満足する集団

ありきたりの定義をすると、40人程度の室内管弦楽団(chamber orchestra)です。市民オケ・学生オケの多くがかなりの大編成であるなかちょっとは珍しいけど、この楽団の売りはそんなことではありません。

では、数あるアマチュアのオーケストラのなかで、なにゆえ、私達は「フロイント」に集まっているのでしょう、いや「フロイント」でなければならんのでしょうか。

「演奏会を目標に練習」これが一般的なアマチュアオケの日常です。しかしながら、なぜかフロイントでは、結団当初から「演奏会?まあそのうちやろか」のまま。じゃあいったい何をしていたと思います?

私たちは、ただひたすらモーツァルトなどを演奏し、最高の芸術に触れた喜び、それだけに満足して帰路につく、そんな日々を送っていたのでした。これは冗談抜きでホントの話です。凄いことでしょう? それともかなり危ない集団なのでしょうか!?

最近では、演奏会をぼちぼちはじめたり、もっとこころゆくまで音楽したくて合宿(注2)を年2回するようになったり、CDも作ったり、まあ、なんやかんやでゆっくり進化してはいますが、そんな状況は今もあんまり変わっていません。

一度気に入った曲は、あーでもない、こーでもないと言いつつ長い間演奏し、「ぼちぼちええんちゃう」と気運が高まると演奏会や録音をする。モーツァルトのト短調にいたっては5年くらい演奏し続け、2回も録音しましたし、逆に、いつの間にか演奏しなくなっていく曲もありました。最近はその日のメンバーの人気投票で「今日はこの曲やろうよ」てなことが多いですね。

そう。いい指揮者がいて、いい音楽があって、真剣にしてくつろいだ自由な雰囲気(注3)の中での「練習?」(注1)。こんな贅沢な時間がフロイントなのです。

どうです、一緒に音楽したくなったでしょう。 えっ、何のことやさっぱりわからん? うーん、じゃあ以下の(注)も読んでみてください。もう少しフロイントの空気を感じることができるかもしれません。で、気に入ったら、もしくは気になったらファッチャ京橋Studio-Jへ楽器を持って遊びに来てください。

注1 練習

フロイントの合奏を「練習」という言葉で表現するのは正確ではありません。

もちろん各楽器の奏者にとって、またオーケストラ全体にとっても練習は必要です。楽器をあやつるにも、オケを合わせるにも「技術」が必要なのですから。しかし、その「技術」はあくまでも音楽(芸術)表現の手段にすぎないにもかかわらず、「技術の向上」それ自体が目的と化してしまうケースがプロアマ問わずなんと多いことでしょう。特に私たちのようなアマチュアは平均的技術水準が低いため、どうしても多くの時間を技術向上のために割くことになり、そのうち目的と手段が入れ替わりがちです。中には吹奏楽コンクールなどにより「(狭義の)技術=音楽の質」と洗脳されている人まで現れる始末です。

芸術作品の再創造に精神的関与が弱まるほど、本来その付随現象にすぎないはずの技術への関心、例えばオーケストラ演奏の場合は、「精密な合奏を実現すること」が最終目標とされ目的にすりかえられ、均整のとれた、洗練された音色美という一種の客観的な理想を追うようになる。このように「楽器」が「音楽」のためではなく、「音楽」が「楽器」のために存在するようになったオーケストラは精神の上に重くのしかかり、窒息させる。作曲者の意図は、このように「美しく」響くということではないのであって、むしろ、このようなオーケストラや指揮者によって、ベートーヴェンの律動的・運動的な力ならびに音の端正さがまったく損なわれてしまうことは明らかである。

「音楽ノート」ウィルヘルム・フルトヴェングラー著 芦津丈夫訳 白水社より抜粋。「」は引用者による

そう、私達がしたいのは「練習」ではなくて「音楽」なのです。毎回の合奏が俗に言う「本番」なのです。それ故、フロイントの「練習」は通し演奏が比較的多いのです。交響曲は1楽章から4楽章まで演奏して1曲ですからね。小説だって第一章と第五章そして第三章なんてバラバラに読まないでしょ。絵画だって右半分だけみても良く分からんでしょ、彫刻だって…。

つらい「練習」に耐えてこそ素晴らしい「本番」が生まれるとか、「技術」が高いほどいい演奏といった、高校野球的=吹奏楽コンクール的=非音楽的思考にはおさらばしましょう。フロイントで演奏する際、私は、歌うのが楽しかった子供の頃や、はじめて音楽に心を動かされた時の気持ちを常に忘れずにいたいと思っています。

注2 合宿

フロイントには合宿があります。一般的なアマチュアオケでは、合宿ともなると練習をします(しごく当然ですな)。演奏会前の合宿などはたいそう気合いの入ったことになっているようです。

ではフロイントの合宿はどうでしょうか。

フロイントでは、希望者が自分の演奏したい曲の譜面を調達してきます。そいつを片っ端から演奏していきます。次から次へと目の前に譜面が置かれていき、集中力と体力が試されます。この時とばかり普段はしないような大曲が現れたりしますし(足りないパートは頭の中!で歌う)、室内楽なども花盛りです。また、腕に覚えのある人のためにはコンチェルトも用意されます。

予定は大ざっぱにしか決まっていないので、急に始まったり、いっこうに始まらなかったりもします。

「この曲楽しいねー」

「うぅー、わけわからんまま終った〜〜」

「もういっかいやろう!」

「えっ?何やてぇ」

「あいついつまで寝てんねん」

「・・・」

わいわいがやがや、自由に言葉が飛び交う中、夜もふけていきます。風呂あとの23時から有志による第九(全曲!独唱・合唱パートは鼻歌で歌いつつ)が始まったこともありました 。そんな中で、次に取り組む曲が決まっていったりするのです。

また、慣例として全体合奏をしない午後があり、野球・湖でボート・パターゴルフ・テニス・すべり台・滝見物・夜に備えて昼寝・ ここぞとばかりに室内楽・リコーダーを吹く・ピアノを弾く・製本・トーク爆発などなど、思い思いに過ごします。

注3 雰囲気

いいかげん。無秩序。もとい自由。

みなさん大人(法律的な意味ではないよ)なのですから細かい決まりはありません。細かくない決まりもありません。規約とかもなし。

団費は自発的に出します(月額2,500円)。でも滞納したからといって退団させられたりはしません。 団費もモラルにまかされているのです。

入団だっていつの間にやらです。見学に来ると「まあ、ええから一緒にやろ」とか言われて一緒に合奏。「じゃあ、気に入ったらまた来週ね」そんな感じでいつしか毎週来るようになり、気がつくと団費袋を握っていたりします。

来なくなれば、「やめたんかなあ」

久しぶりに来れば「お、久しぶり」(で、団員に復活?)といった感じ。

世の中には出席までとっている市民オケや大学オケがあると聞きます。フロイントでは音楽したい人間が自分の意志で集まっています。したがって、行けないときは行かない、行きたくなくなれば行かなくなる。それで十分。学校や軍隊じゃないんだから義務感で来られても困ります。

フロイントは、ゆるやかな自発的結合体なのです。

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最高の芸術に触れた喜び、それだけに満足する集団。ありきたりの定義をすると、40人程度の室内管弦楽団(chamber orchestra)です。市民オケ・学生オケの多くがかなりの大編成であるなかちょっとは珍しいけど、この楽団の売りはそんなことではありません。
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アンサンブル・フロイント Q&A
アンサンブル・フロイントのご質問に対しゼネラル・マネージャーが軽快にお答えいたします。アンサンブル・フロイントの意外な真実がわかるかも?
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今週の合奏などの様子を簡単にお知らせします。また、運営からのお知らせなどもこちらからどうぞ。
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アンサンブル・フロイント活動予定&Access
原則第2・第4土曜日※ 18:00-21:00(合奏は大体19:00から始めています。※変更になる場合があります)活動日程は「今週のフロイント」でご確認ください。見学の方は事前にご連絡くだされば、当日の連絡先をご案内します。
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アンサンブル・フロイント団員募集
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アンサンブル・フロイントの演奏会
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